2011年7月1日金曜日

改革先送り、つけは次世代へ

一体改革案軒並み後退 あいまい決着実効性ゼロ

2011.7.1 00:26 (産経ニュース)

政府・与党が30日に正式決定した社会保障と税の一体改革案は、消費税率引き上げの時期が「2010年代半ば」とあいまいな表現となったことで、実効性はまったく担保されなくなった。政府は当初、今年末に決める税制改正関連法案に具体的な引き上げ幅や時期を盛り込み、来年の通常国会に提出する考えだったが、このままでは法案に書き込めず、国民に具体的なスケジュールを示すことはできない。税制改革があいまいとなったことで、同時に進める社会保障制度改革も大きく後退した

「10年代半ばは、14~16年を指す。(政府案の)15年からプラス、マイナス1で、譲ったわけではない」時期の明記にこだわってきた与謝野馨経済財政担当相は30日の会見で、こう強弁した。

だが、関連法案に「13年度に3%、15年度に2%」といった2段階の引き上げを一括で示すシナリオは完全に崩れた。政府関係者は「増税時期が明確にならない法律なんて意味がない」と吐き捨てるように言う。

今後、政府税制調査会は年末にかけて関連法案の議論を進めるが、与党の合意がなければ、増税時期を決めても国会で成立させられない。一方の与党内では、退陣表明後も居座る菅直人首相をめぐる政局の混乱もあり、今後も不毛な議論が続くのは必至だ。

増税が担保されなければ、高齢化で毎年1兆円以上増える社会保障費の自然増や、基礎年金の国庫負担割合を現行の2分の1に維持するために必要な2・5兆円を確保する見通しは立たない。赤字国債の発行が膨らみ、約900兆円という先進国最悪の長期債務残高をさらに悪化させる。

海外の格付け会社も一体改革の行方を注視している。消費税のあいまい表現が、日本国債の格付けをさらに引き下げる引き金となる可能性があり、「市場の信認」を失いかねない。

一方で、一体改革の最終案では、医療や年金での負担増を国民に求める改革も軒並み後退した内容となった。当初案では低所得者へのサービス拡大の財源として、不十分ながらも負担増につながる内容が盛り込まれていた。しかし、消費税増税をめぐる政府・与党間の攻防の裏で、社会保障改革も後退を余儀なくされた。

政府・与党の成案決定会合が17日にまとめた案では、医療機関で70~74歳の窓口負担を現行の1割から2割に引き上げる案が盛り込まれていた。これに民主党側が反発し、「自己負担割合の見直しなど」と抽象的な内容に変更。外来受診時の窓口負担に加えて100円程度の定額負担を求める案に関しては「低所得者に配慮」することが盛り込まれ、負担増により確保できる財源は低く抑えられることになった。

また、当初案では年金制度の改善点として、デフレが持続している限り少子高齢化に伴う年金減額を行わない現行制度を見直すことがうたわれた。ところが、民主党側はこれにも抵抗。支給開始年齢の引き上げとともに、検討課題とされ、先送りが濃厚となった。

------引用ここまで

これまでの自民党政権のつけを支払うべく、改革をゆだねられて政権与党になった民主党。「弱者」に配慮するようなそぶりで改革を先送り。本当の「弱者」は改革の先送りにより、その「つけ」を支払わされる次の世代である。

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