2011年6月2日木曜日

社会保障改革 抑制策逃げては本末転倒

-------以下引用
社会保障改革 抑制策逃げては本末転倒 (産経新聞【主張】より)

政府・与党の「社会保障改革に関する集中検討会議」が提示する社会保障制度改革案には、制度として長続きしそうにない限界がうかがえる。

懸案だった子育て支援などの若者向けサービスや低所得者対策などは強化された。支援を要する人への手当ては当然だが、いま問われているのは「高齢化で膨張し続ける年金、医療、介護費用の抑制」をどうするかだ。その道筋が明確に示されていない。

社会保障費は毎年1兆円超のペースで膨らんでいる。基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするための財源も捻出しなければならない。ところが今回の改革案だと、平成27年度には新たに約4兆円が必要になる。改革の方向が違っているのではないか。

抑制策として、年収1千万円以上の高齢者の基礎年金減額、外来受診で窓口負担に加えて100円程度の定額負担、70~74歳の医療費窓口1割負担から2割への引き上げ-などが打ち出されているが、これらで削減できるのは約1・3兆円でしかない。

政府・与党は不足分を消費税増税で賄う考えだ。段階的に10%まで引き上げるという。安定財源確保は必要だが、増税は無駄の徹底排除が前提であるはずだ。水ぶくれした制度のままでは、間を置かず今回の増税分では賄い切れなくなるだろう。これでは改革の先送りと変わらない。

支え手が減る以上、救済すべき対象を絞り、支払い能力のある人には応分の負担を求める必要がある。社会の基本は「自助自立」との認識に立ち返りたい。

菅直人首相の姿勢こそ問題だ。首相は5月30日の集中検討会議で、当初予定していた制度の効率化に関する具体的指示を急遽(きゅうきょ)、取り下げた。首相が覚悟を決めなくては、給付抑制に対する国民の理解は到底得られない。

首相の方針転換について、政府・与党内では「内閣不信任決議案提出の動きが強まり、民主党内で『菅降ろし』の材料となるのを嫌った」との見方も出ている。事実ならば本末転倒だ。政権延命のため、政策がねじ曲げられることがあってはならない。

改革の最終案づくりには、与野党協議が不可欠だ。そのためにも民主党はバラマキ政策に終止符を打ち、国民の痛みを伴う改革に向き合うべきだ。
-------引用ここまで
まったく同感です。

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