2010年12月28日火曜日

変わる地方議会 4

大分合同新聞12月10日夕刊より転載
-------
地域再生Ⅱ - 変わる地方議会(4)  問われる二元代表制

地方分権論議の高まりを背景に、自治体の首長の動きが注目を浴びている。
しかし、地方議会の存在感は薄いのが実情だ。
地方自治は、住民がそれぞれ選挙で選んだ首長と議会の「二元代表制」で支えられる。一方の柱である議会の活性化は急務だ。

「地域主権改革が進む中、議会の役割は極めて重い。
首長と議会、議会と住民との関係が厳しく問い直されている」。
11月初め、都内で開かれた自治体関係者の会合で、三重県議会の三谷哲央議長(63)は強調した。

同県議会は先駆的な改革を続けている。
定例議会を年4回から2回とし会期を延ばしたほか、有識者らによる「議会改革諮問会議」を設け、外の声を生かす仕組みも導入した。
こうした試みを広瀬克哉法政大教授(52)は「改革に取り組む議会は住民の関心度が違う」とし、議会と住民を近づける効果があるとみる。

ただ、政策シンクタンクの東京財団によると、全体的な住民の関心は、論議の中身ではなく高額さや無駄が批判される議員報酬や政務調査費に向けられている。
同財団の中尾修研究員(61)は「自治体は限られた財源で“地域経営”を迫られている。議会も地域経営者の覚悟が必要」と、議員の危機感の薄さが不信を招いていると指摘する。

議会自らの改革と同時に、地方分権のふさわしい受け皿となれるよう制度の見直しも重要だ。
二元代表制とされながら、議会の招集権や予算の修正で制約があるなど、首長と比べると、議会の権限は十分でないとの声が上がっている。

市長が議会を開かず専決処分を繰り返した鹿児島県阿久根市のケ-スでは、議会が有効な対抗策を打ち出せないことも混乱の一因とされた。
片山善博総務相(59)は「議会を招集しないのは違法。議会側が招集権を持つのも一つの解決方法だ」と、地方自治法改正に踏み込む考えを示した。
ただ、共同通信社と加盟新聞社が協力して今秋行った全国首長アンケ-トで、地方議会改革を聞いたところ「現行の枠組みで改革」が51%でトップ。
「抜本的な制度改革が必要」は6%にすぎず、首長側は本格的な見直しには消極的だ。

議会への期待の低さの反映ともみられ、地域社会でも制度改革を求める声は必ずしも大きくない。
しかし、三谷議長が指摘したように首長と議会、住民の連携は一層重要となる。責務に見合う見直しを進めていくには、議会自らが信頼感を獲得する試みを重ねることが大事だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿