2010年12月24日金曜日

事業仕分けを振り返って

この一年の事業仕分けを振り返って
構想日本政策担当ディレクター 中村 卓
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年の瀬を迎え、今年の熱く、濃い「事業仕分けシーズン」もようやく終わった。
国レベルでは、政府行政刷新会議が春に独立行政法人と公益法人、秋に特別会計と再仕分けを行ったほか、自民党も4月には子供手当や高速道路無料化など現政権が推進する主要事業、6月には政府の諸規制政策を対象に、事業仕分けを行った。

構想日本が自治体と行う事業仕分けも、今年は急増した。
事業仕分けは、もともと構想日本が2002年から進めてきたもので、3年ほど前から増加傾向にあったが、今年は6月から12月までで49件にのぼり、過去8年間の合計にほぼ匹敵する件数となった。このうち、すでに2度目、3度目という自治体も15件を数え、地道な取り組みとして継続的に実施する自治体も増加した。

数が増えただけでなく、内容も進化した。事業の選考、事業シートの作成、本番の運営体制、実施後のフォローという一連の過程で、透明度を高め、説明責任を果たすための様々な努力、創意工夫がみられた。

中でも「市民判定人方式」を採用した自治体が急増した。仕分け人が議論をし、結果判定は無作為抽出で選ばれた20名程度の住民が行うというこの方式は、昨年7月に富士見市で初めて実施したものだが、今年は17自治体に広がった。関心度、注目度の高まりに連れ、事業仕分けの取り組みの質をどう高めるか、行政内部の取り組みにとどまらず住民参加、住民自治にどうつなげていくかという問題意識が実施自治体に育っていると感じられる。

地方議会の会派が実施する事業仕分けが増えたのも、今年の特徴である。議会会派の事業仕分けは、昨年2月に民主党京都府議会議員団が初めて実施し、続いて7月に自由民主党横浜市議団が実施した。この両会派は、その後も継続して実施しているが、今年はさらに、民主党・無所属の会さいたま市議団、越谷市議会新政クラブ、宮城県議会改革みやぎが加わり、年明け早々には民主・みやこ未来京都市会議員団が実施予定である。取り組み手法は様々で、事業説明を議員が行うケースもあるが、いずれの取り組みも活気があり、その後の議会活動やマニフェストづくりに生かそう、という意気込みが感じられた。

とはいえ、現状では議会内のグループである会派の取り組みにとどまり、議会として実施するには至っていない。住民の代表者として行政の事業をチェックするのが議会の役割であることからすれば、議会が率先して事業仕分けに取り組んでほしい。来年は、全国のモデルとなる議会主導の事業仕分けが現れるよう、働きかけをしていきたい。

6月から12月まで切れ目なく続いていた自治体事業仕分けも、ここでようやく一区切りついた。この間、多くの皆さんに、多大なご尽力をいただいたことを心から感謝申し上げる。そう申し上げている間にも、構想日本の事務所には、既に来年度の事業仕分け実施希望が多数寄せられている。新たな年、事業仕分けの輪をさらに広げ、この国を基礎から、現場から変えていくうねりをつくり出したい。

http://www.kosonippon.org/shiwake/contribution/index.php

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