2010年12月23日木曜日

変わる地方議会 3

大分合同新聞12月9日夕刊より転載
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地域再生Ⅱ - 変わる地方議会(3)   成果主義、議員も競争

●「身を切る覚悟を」

川辺川ダム問題に揺れる熊本県五木村。
11月中旬、宮園地区の大イチョウがそびえる広場には、ことしも岩本員功副議長(67)ら議員3人の姿があった。

「地域のために汗を流すのも、議員の務めだと思う」と岩本副議長。
地区で毎年開かれる祭りのため、3人は準備に忙しい。
作業に加わった男性(50)は「成果主義の導入で議員が切磋琢磨(せっさたくま)し、地元が元気になればうれしい」と期待する。

五木村議会(定数10)は4月、全国で初めて議員報酬に成果主義を導入した。
月額21万3千円だった報酬のうち8割は毎月支給する。
残る2割を成果報酬とし、活動の評価に応じて年度末にまとめて支払う仕組みだ。

水没予定地を抱えダム計画に翻弄(ほんろう)されてきた「子守歌の里」は、村の人口がピ-ク時の4分の1以下に減少。
高齢化率は40%を超え、限界集落も数を増している。「このままでは村はつぶれる。競争原理を働かせ、議員も身を切る覚悟が必要だ」。
照山哲栄議員(78)は力を込める。

だが、議員の受け止め方は分かれる。報酬改革を盛り込んだ条例改正案が出された3月定例会。
「議員の働きを公平に評価する人をどう選ぶか」「議員は4年に1度の選挙で評価されるべきだ」など懸念の声が相次いだ。
採決結果も賛成5、反対4の小差だった。

●試行錯誤なお続く

議会が評価主義の導入を申し合わせたのは、昨年12月。
それからわずか4か月足らずで実現に踏み切った。

見切り発車の感はぬぐえず、現場では今も試行錯誤が続く。
議員名や評価内容を非公開とする方針を決めたのも、制度が導入された後。

「評価する側の負担が大きい。選挙への影響を考慮する必要もある」と、田山淳士議長(59)は話す。
議員は「一般質問」「政策提案」「地域活動」などを参考に5段階で評価される予定。
ただ、5人以内とした評価委員のなり手は、村民3人にとどまっている。
具体的な効果がまだ見えないだけに「評価のために頑張るのはおかしい」と消極的な議員もいる。

一方、地方自治に詳しい早稲田大現代政治経済研究所の林勝美・特別研究所員は小さな村の挑戦に「住民が主人公となる自治へと転換する契機となるのではないか」とエ-ルを送る。

年度末には、議員に初めて評価が下される。
各地の地方自治の現場が、その「成果」を注視している。

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